ジンクピリチオン配合シャンプーの効果と危険性について解説

「ジンクピリチオン配合!」——昭和から平成のはじめにテレビCMで一世を風靡した、このフレーズに聞き覚えはありませんか。

フケ・かゆみを防ぐ有効成分として日本のシャンプーに長く使われてきたジンクピリチオンですが、実はEUでは2022年から化粧品への配合が禁止されています。

一方、日本では今も医薬部外品の有効成分として現役。「禁止された成分が入っていて大丈夫なの?」と不安になる方もいるかもしれません。

この記事では、ジンクピリチオンの効果と、EUで禁止された本当の理由をわかりやすく解説します。「危険」という言葉だけが独り歩きしがちなテーマだからこそ、事実を一つずつ整理していきます。

あわせて、当サイトおすすめのフケ・かゆみを防ぐ薬用シャンプーもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

ジンクピリチオンとは?一世を風靡したフケ防止成分

ジンクピリチオンとは、フケの一因となる菌の増殖を抑える抗菌作用を持つ成分です。

日本では「フケ・かゆみを防ぐ」効果が認められた医薬部外品の有効成分として、シャンプーなどに配合されてきました。

この成分が広く知られるきっかけは、1970年。日本初のジンクピリチオン配合シャンプーとして発売された、花王「メリット」の登場です。

当時の日本は、内風呂がまだ十分に普及しておらず、毎日髪を洗う習慣もない時代。フケは多くの人にとって身近で深刻な悩みであり、「病気なのでは」と捉えられることさえありました。

そこに「フケ・かゆみを防いでお幸せに」のセリフとともに、テレビCMで「ジンクピリチオン配合」を堂々と打ち出したのがメリットでした。

ほとんどの人は、ジンクピリチオンが何なのか知りません。それでも「なんだかすごそうな成分が入っている」という響きが消費者の心をつかみ、メリットは国民的シャンプーへと駆け上がります。

この現象はのちに、作家の清水義範氏によって「ジンクピリチオン効果」と名付けられました。

中身は分からなくても、専門用語の響きだけで効果がありそうだと感じてしまう心理のことで、成分名がそのまま広告心理を表す言葉になったほどです。

それほどまでに時代を象徴したこの成分が、なぜ今、EUで禁止されるに至ったのか。まずは本来の効果から順に見ていきましょう。

ジンクピリチオンの効果|フケ・かゆみを防ぐ仕組み

仕組み

では、ジンクピリチオンは実際にどのようにフケ・かゆみを防ぐのでしょうか。カギを握るのは、頭皮にすむ「菌」です。

フケの原因は頭皮の「マラセチア菌」

フケやかゆみの一因とされているのが、頭皮の常在菌である「マラセチア菌」というカビ(真菌)の一種です。

この菌は皮脂を栄養にして増えていきます。皮脂の多い頭皮などで菌が過剰に増えると、その代謝物が頭皮を刺激し、ターンオーバーを乱してフケ・かゆみを引き起こすと考えられています。

ジンクピリチオンが菌の増殖を抑える

ジンクピリチオンは、この原因菌であるマラセチアの増殖を抑える抗菌作用を持っています。

菌が増えすぎないように頭皮環境を整えることで、フケ・かゆみを防ぐ。これがジンクピリチオンの基本的な働きです。

かつて作用の仕組みははっきりわかっていませんでしたが、近年の研究で、菌の細胞内に銅を流入させて、菌の働きに必要なタンパク質を失活させることが主な経路だと明らかになってきました。

臨床研究でも確認された効果

ジンクピリチオンのフケ抑制効果は、医学の分野でも報告されています。

たとえば、頭皮のマラセチア菌を調べた研究では、ジンクピリチオンが低い濃度から菌の増殖を抑え、シャンプー使用後に頭皮の菌が減少したことが確認されています。

重症のフケ・脂漏性皮膚炎を対象にした比較試験もおこなわれており、フケ用シャンプーの有効成分として世界的に広く使われてきました。

このように、ジンクピリチオンは効果の裏付けもある成分です。それがなぜ、EUでは禁止されることになったのでしょうか。次の章で見ていきます。

参考:Effect of zinc pyrithione shampoo treatment on skin commensal Malassezia(Medical Mycology, Oxford Academic)https://academic.oup.com/mmy/article-abstract/59/2/210/5891419

ジンクピリチオンの危険性|EUで禁止された本当の理由

EU

効果が認められてきたジンクピリチオンですが、冒頭でお伝えしたとおり、EUでは2022年3月から化粧品への配合が禁止されました。

「禁止」と聞くと、健康被害が相次いだのかと不安になりますよね。しかし、その理由は少し違います。順を追って見ていきましょう。

理由①:動物実験にもとづく「生殖毒性」の分類

禁止の直接のきっかけは、EUの化学物質を管理する機関によって、ジンクピリチオンが「生殖毒性 区分1B」に分類されたことです。

これは、動物実験の結果にもとづいて「人の生殖(妊娠・胎児の発育など)に悪影響を及ぼすおそれがあると考えられる」というカテゴリーです。

ここで押さえておきたいのは、この分類が「実際に人体で健康被害が確認されたから」ではなく、あくまで動物試験のデータをもとにした予防的な位置づけだという点です。

理由②:分類されると「自動的に」禁止されるEUのルール

EUの化粧品規則には、発がん性・変異原性・生殖毒性(まとめてCMRと呼ばれます)に分類された成分は、原則として化粧品に使用できない、という強力なルールがあります。

つまり、その成分がどれだけ役に立つかを個別に天秤にかけるのではなく、「1Bに分類された」という事実だけで、ほぼ自動的に禁止対象になる仕組みなのです。

理由③:安全という評価もあったが、代替成分があった

興味深いのは、EUの消費者安全科学委員会(SCCS)が、洗い流すヘアケア製品で1%以下なら消費者にとって安全と結論づけていたことです。

それでも禁止が覆らなかったのは、CMR成分が例外的に認められる条件の一つに「代わりになる成分が存在しないこと」があり、フケ防止成分には他の選択肢があると判断されたためです。

安全という評価があっても、「わざわざリスクのある成分を使い続ける理由はない」という予防重視の考え方が優先された、というわけです。

一般に、CMR(発がん性・変異原性・生殖毒性)に分類された物質の化粧品への使用は禁止される。ただし、代替となる適切な物質が存在しないことなど、特定の条件を満たす場合には例外的に認められる。

出典:欧州委員会 化粧品規則(Regulation (EC) No 1223/2009)にもとづくCMR成分の規制

まとめると、EUの禁止は「使った人に危険が及んだから」ではなく、「動物実験で懸念が示され、代わりの成分もあるのなら、予防的に禁止しておこう」という制度上の判断だといえます。

この背景を知らずに「EUで禁止された危険な成分」という言葉だけを見ると、実態以上に怖く感じてしまうかもしれません。

結局、ジンクピリチオン配合シャンプーは使っても大丈夫?

男性

ここまで読んで、「じゃあ日本のシャンプーに入っているものも危ないの?」と気になった方もいるかもしれません。結論から整理していきましょう。

日本では有効成分として承認されている

日本では、ジンクピリチオンは「フケ・かゆみを防ぐ」効果が認められた医薬部外品の有効成分として、厚生労働省に承認されています。

医薬部外品に配合できる濃度にも上限が定められており、その基準の範囲内で使われています。長年にわたり多くの製品で使われてきた実績のある成分です。

禁止されているのはEUをはじめとする一部の国・地域で、たとえばアメリカでは今も、フケ・脂漏性皮膚炎向けの有効成分として安全かつ有効と位置づけられています。国によって判断が分かれているのが実情です。

「規制の考え方の違い」が背景にある

なぜ国によって扱いが違うのか。それは前の章で見たとおり、EUが「動物実験で懸念が示された成分は、代替があるなら予防的に禁止する」という考え方を採っているためです。

一方の日本やアメリカは、「使用実績や、決められた濃度の範囲での安全性」を重視して判断しています。どちらが正しい・間違いというより、リスクへの向き合い方の違いといえます。

気になるなら「無配合」を選ぶのも一つの手

国内の基準で使われている以上、過度に不安になる必要はありません。ただ、判断の材料がそろったうえで、それでも気になるという感覚も自然なものです。

たとえば、「動物実験のレベルであっても心配」「妊娠中や子供には念のため避けておきたい」——そう考えるなら、ジンクピリチオンを配合していないフケ・かゆみ対策シャンプーを選ぶ、という考え方もあります。

フケ・かゆみを防ぐ有効成分は、ジンクピリチオンだけではありません。次の章では、別の有効成分でフケ・かゆみにアプローチする選択肢をご紹介します。

ジンクピリチオン無配合で頭皮ケアするなら

ReBALANシャンプーのイメージ

「ジンクピリチオンは避けたいけれど、フケ・かゆみはきちんとケアしたい」——そんな方に選択肢の一つとしてご紹介したいのが、ReBALAN(リバラン)の薬用シャンプーと薬用トリートメントです。

どちらもジンクピリチオンを使わずに、別の有効成分でフケ・かゆみを防ぐ医薬部外品。大手製薬会社との共同開発による、品質にこだわった日本製です。

3つの有効成分でフケ・かゆみを防ぐReBALAN薬用シャンプー

ReBALAN薬用シャンプーは、フケ・かゆみを防ぐ有効成分を配合しながら、頭皮を清潔で健やかな状態に保つシャンプーです。

ReBALAN薬用シャンプー 3つの有効成分

グリチルリチン酸2K
甘草(カンゾウ)由来の抗炎症成分。敏感な頭皮にもやさしく、フケやかゆみを防いで頭皮環境を健やかに保ちます。

サリチル酸
頭皮を清浄に保ち、フケ・かゆみを防ぎます。余分な皮脂や古い角質が気になる頭皮に向いた成分です。

酢酸トコフェロール
ビタミンEの一種。頭皮の血行を促進し、健やかな頭皮環境づくりをサポートします。

洗浄成分はアミノ酸系を中心としたマイルドな処方。皮脂を落としすぎるとかえって乾燥やベタつきを招くこともあるため、必要なうるおいを守りながらやさしく洗い上げます。

ジンクピリチオンのような抗真菌成分に頼らずとも、頭皮を清潔に保ち、フケ・かゆみを防ぐ設計になっています。

頭皮に揉み込める薬用トリートメント

一般的なトリートメントは、頭皮にはつけず毛先を中心になじませるのが基本です。しかしReBALANの薬用トリートメントは、頭皮に直接揉み込んで使えるように設計された医薬部外品という点が大きな特長です。

グリチルリチン酸2K・サリチル酸という2つの有効成分を頭皮まで届けられるため、髪の指どおりを整えながら、フケ・かゆみを防いで頭皮を健やかに保てます。毛先の補修と頭皮ケアを1本で行える処方です。

シャンプーで洗い、トリートメントで頭皮までケアする。この流れを毎日のバスタイムに取り入れることで、ジンクピリチオンに頼らない頭皮ケアを無理なく続けられます。

フケ・かゆみが続くときは皮膚科へ

最後に一点。シャンプーを見直してもフケ・かゆみが治まらない、むしろ悪化するというときは、脂漏性皮膚炎など別の原因が隠れていることもあります。

強い赤みやジュクジュクした湿疹、かさぶたを伴う場合は、自己判断でケアを続けず、早めに皮膚科を受診しましょう。

症状が強いときの治療は医師に任せ、ふだんの予防は薬用シャンプーでのケアを。この使い分けで、頭皮の悩みと上手に付き合っていきましょう。

この記事の監修者
橋本 裕貴の写真
コスメアナリスト
橋本 裕貴
ライターとして、ヘアケア・スキンケアに関する記事を多数執筆。長年、脂漏性皮膚炎に悩まされ、数えきれないほどの商品を試すも納得のいくものに出会えず、食事や生活習慣の見直しとともに医薬部外品をはじめとする成分研究を始める。その知識と経験を活かし、各メーカーの商品開発の助言・提案にも携わる。「正しい知識と適した商品で、QOL(生活の質)向上に貢献したい」という思いから、わかりやすい言葉での情報発信を心がけている。