脂漏性皮膚炎とシャンプーの深い関係
脂漏性皮膚炎は「皮脂の過剰分泌」や「マラセチア菌の繁殖」が原因とされますが、実際にはそれだけではありません。
毎日のシャンプー習慣——つまり、どんな成分で、どのように洗っているかも、症状の悪化や改善に大きく関わっています。
特に見落とされがちなのが、洗浄成分の刺激性とすすぎ残し。
洗浄力の強すぎるシャンプーは頭皮の常在菌バランスを乱し、皮脂バリアを破壊します。その結果、乾燥と炎症を招き、マラセチア菌の異常増殖を促してしまうのです。
一方で、洗いすぎを避けようと「お湯洗いのみ」や「シャンプーをやめる」方法を試す方もいますが、皮脂や汗、古い角質が残ると毛穴詰まりや細菌の繁殖を助長するリスクもあります。
つまり、脂漏性皮膚炎において重要なのは「洗う or
洗わない」ではなく、“何で・どう洗うか”。
頭皮のpHバランスを保ちつつ、余分な皮脂だけを落とせるような低刺激設計のシャンプーを選ぶことが、治療と再発防止の両面で大切です。
橋本のコメント:
「脂漏性皮膚炎の方の多くが、“洗いすぎ”か“洗わなさすぎ”のどちらかに偏っています。理想は、頭皮環境を守りながら清潔に保つこと。
アミノ酸系洗浄剤など、皮脂を取りすぎないタイプを選び、すすぎ残しを防ぐことがポイントです。」
シャンプーの選び方
1. 抗炎症成分を含むものを選ぶ
脂漏性皮膚炎の症状は「かゆみ」「赤み」「フケ」「ヒリつき」など、炎症反応によって引き起こされます。
そのため、シャンプーを選ぶ際はまず抗炎症作用のある有効成分が配合されているかをチェックしましょう。
医薬部外品(薬用シャンプー)では、代表的な成分として以下が挙げられます。
- ① グリチルリチン酸ジカリウム:皮膚の炎症を抑え、かゆみや赤みを鎮める
- ② オタネニンジン根エキス:血行を促進し、頭皮環境を健やかに保つ
- ③ カミツレ花エキス(カモミールエキス):抗炎症・抗酸化作用で肌荒れを防ぐ
こうした成分は、医薬品ほどの即効性はありませんが、日常的に使える“穏やかな炎症ケア”として非常に重要です。 特に頭皮が敏感な方や、繰り返し再発してしまうタイプの脂漏性皮膚炎では、刺激の少ない薬用シャンプーを継続的に使うことが有効です。
橋本のコメント:
「一時的に刺激を避けようとして“シャンプーをやめる”方もいますが、皮脂や汚れが蓄積すると別の炎症を招くことがあります。
抗炎症成分を含む低刺激のシャンプーで、毎日適切に洗うことが改善への近道です。」
2. 洗浄成分の強さに注意
脂漏性皮膚炎の頭皮は、見た目の「ベタつき」とは裏腹に、乾燥とバリア機能の低下が起こっているケースが多くあります。 そのため、“スッキリ洗える=良い”と考えて高級アルコール系(ラウレス硫酸Naなど)を使用すると、逆効果になることも。
理想は、余分な皮脂だけを落とし、必要なうるおいを残せるようなアミノ酸系・ベタイン系の洗浄成分を選ぶことです。
- ✔️ ココイルグルタミン酸Na
- ✔️ ラウロイルメチルアラニンNa
- ✔️ コカミドプロピルベタイン
これらはマイルドな洗浄力で、皮脂の取りすぎを防ぎながら頭皮を健やかに保ちます。 洗浄成分は配合量やバランスによっても刺激が変わるため、「アミノ酸系=すべて優しい」とは限りませんが、目安として覚えておくと安心です。
橋本のコメント:
「洗浄力が強すぎると、皮脂を守るバリアまで失い、結果的に皮脂が過剰分泌されてしまいます。
‘皮脂を落とす’よりも‘皮脂を整える’という発想で、シャンプーを選ぶとよいでしょう。」
3. アミノ酸シャンプーの活用
脂漏性皮膚炎の頭皮ケアには、アミノ酸系シャンプーの使用がおすすめです。 アミノ酸系とは、髪や皮膚を構成する「アミノ酸」をもとにした洗浄成分で作られたシャンプーのことを指します。 代表的な成分にはココイルグルタミン酸NaやラウロイルメチルアラニンNaなどがあり、これらは皮脂を落としすぎず、頭皮に必要なうるおいを残して洗えるのが特徴です。
たとえば、ReBALANシャンプーのようなアミノ酸系シャンプーは、刺激が少なく、皮脂バランスを整える処方で設計されています。 毎日の洗髪で炎症を悪化させたくない方や、敏感肌・乾燥肌の方にも適しています。
一方で、アミノ酸シャンプーは一般的に洗浄力がマイルドなため、スタイリング剤や皮脂の多い方は、予洗いを丁寧に行うなどの工夫が必要です。 また、泡立ちが少ないと感じる場合は、泡立てネットを使用することで摩擦を抑えつつ、しっかり洗うことができます。
橋本のコメント:
「アミノ酸シャンプーは頭皮への刺激が少なく、敏感肌や脂漏性皮膚炎の方にも適しています。 ただし、泡立ちが弱いタイプでは洗い残しが生じやすいため、しっかり泡立ててやさしく洗うことがポイントです。 “洗浄成分のやさしさ+正しい使い方”の両立が大切です。」
頭皮に負担をかけないシャンプーの方法
脂漏性皮膚炎の改善には、どんなシャンプーを使うかだけでなく、 「どのように洗うか」も極めて重要です。間違った洗い方を続けると、頭皮に刺激が残り、 炎症やかゆみ、フケの悪化を招くことがあります。ここでは、皮膚科学的な観点からも推奨される、 正しいシャンプー方法のポイントを解説します。
1. 予洗いを1分以上行い、皮脂と汚れを浮かせる
シャンプーをつける前に、ぬるま湯で頭皮と髪を1分以上すすぐことで、 約7割の汚れは落ちるといわれています。これにより、シャンプー剤の負担を最小限に抑えられます。
2. シャンプーは手のひらでよく泡立ててから使用する
原液を直接頭皮につけると、刺激が強すぎる場合があります。泡立ててから指の腹で優しくマッサージするように洗いましょう。 爪を立てるのはNGです。
3. すすぎ残しのないようにしっかり洗い流す
シャンプーやトリートメントの成分が頭皮に残ると、毛穴詰まりや炎症を引き起こします。 耳の後ろや後頭部など、すすぎ残しやすい部分にも注意しましょう。
4. ドライヤーでしっかり乾かす
自然乾燥は雑菌の繁殖を促し、炎症を悪化させる原因になります。 ドライヤーは髪から20cmほど離し、温風と冷風を交互に使うのが理想です。
5. 乾かした後は保湿ケアを忘れずに
洗髪後の頭皮は一時的に乾燥状態になります。 保湿ローション(ReBALAN 頭皮ローションなど)を使用して、 バリア機能をサポートしましょう。
橋本のコメント:「シャンプーの仕方を誤ると、どんなに良い製品を使っても効果は半減します。 特にすすぎ残しと自然乾燥は、脂漏性皮膚炎を悪化させる大きな原因です。 正しい洗浄・乾燥・保湿の3ステップを日々意識することで、頭皮環境は確実に改善します。」
シャンプー以外で気をつけること
脂漏性皮膚炎の改善・再発予防には、シャンプーやスキンケアだけでなく、 「生活習慣の見直し」も欠かせません。皮脂分泌やホルモンバランス、免疫反応は、 日々の食事・睡眠・ストレス状態に大きく影響を受けます。 以下のポイントを意識することで、頭皮環境を根本から整えやすくなります。
1. 規則正しい生活習慣を身につける
睡眠不足や生活リズムの乱れは、ホルモンバランスを崩し皮脂分泌を過剰にします。 毎日同じ時間に寝起きすることで、自律神経が整い、頭皮の炎症リスクを抑えられます。
2. バランスの取れた食事を心がける
脂っこい食事や糖質の摂りすぎは皮脂量を増加させます。 ビタミンB群(B2・B6)や亜鉛、オメガ3脂肪酸を含む食材(青魚・ナッツ類など)を意識的に摂りましょう。 腸内環境を整えることも、皮膚の炎症を防ぐうえで効果的です。
3. シャワーだけでなく湯船に浸かる
ぬるめのお湯に10〜15分浸かることで血行が促進され、皮脂の排出バランスが整います。 代謝が上がることで、頭皮のターンオーバーも正常化しやすくなります。
4. 紫外線対策を徹底する
紫外線は頭皮の乾燥や酸化を招き、炎症の悪化を引き起こします。 外出時は帽子や日傘を使用し、頭皮用UVスプレーを活用するのもおすすめです。
橋本のコメント:「脂漏性皮膚炎の予防には、スキンケアだけでなく生活習慣の改善も欠かせません。 特にストレスや食生活の乱れは皮脂分泌に影響を与えるため、トータルでのケアが大切です。 “洗う・整える・生活を見直す”の3ステップが改善の鍵です。」
まとめ
脂漏性皮膚炎のケアは、単に症状を抑えることではなく、
「頭皮環境を整える」「再発を防ぐ」ことが目的です。
適切なシャンプー選びと正しい洗髪方法、そして生活習慣の見直しを
トータルで行うことで、根本からの改善が期待できます。
日々のケアを積み重ねることで、健やかで快適な頭皮と髪を取り戻しましょう。

